3Dアーチェリー(スリーディーアーチェリー)とは立体動物模型を狙うアーチェリーの種目の一種。

概要

3Dアーチェリーは1980年代、アメリカでもともとはハンティングの練習として行われていたのが、競技として発展したもの。的が立体なため「3Dアーチェリー」と呼ばれる。3Dアーチェリーは、自然の中(森林などの整地されてない土地)で行われることが多く、選手は様々な距離や角度からターゲットを狙うことになる。このため、技術だけでなく、戦略や判断力も重要な要素となる。的は発泡スチロールなどでできた鹿や熊などの哺乳類の模型であり、バイタルパート(首、頭部、内臓)に近いほど高い点が得られるという種目。山などの斜面のある場所で射るフィールドアーチェリーの派生競技なので、ハンターなどに人気がある。競技用に狩猟をリアルに再現することが目的であるため、3D アーチェリーでは的との距離が指定されないのが一般的。

主目的は狩猟の練習だが、狩猟用の鏃(ポイント)は模型を損傷させてしまうため使用されないことが多い。代わりに、狩猟用と同じ重さの競技用鏃またはフィールドチップが大抵の場合使われる。

歴史

1950年代に弓術と狩猟の普及に多大な貢献をしたハワード・ヒルのおかげで、弓猟用具を各メーカーから手頃な価格で購入できるようになった。ベアアーチェリー(フレッド・ベア)、ピアソン(ベン・ピアソン)、ホイットアーチェリー(アール・ホイット)などの大手弓メーカーは狩猟用の弓矢を作り、狩猟方法を使った指導映画も制作した。 また、アメリカ合衆国内では弓と銃器では狩猟期間の解禁時期や期間が異なったため、弓は銃器に比べて有利な立場を占めるようになった。これらが、1960年代に始まった米国での弓狩りのブームにつながった。

3Dアーチェリーの歴史は1970年代にアメリカで狩猟愛好家の間で始まった。1974年から1975年にかけて、ニューヨーク州デピュー村の射撃場で狩猟リーグ戦を開催した。段ボールでいくつかの標的を作り、雑草や茂みの絵を描き、標的地帯に風船を置き、動物の動きを模倣するためにモーターで駆動するケーブルに標的を取り付けた。参加者は実際の狩猟に近いリアルな条件でスキルを磨くことができた。また、リーグではスコアの集計も行われた。それを受けて、全米フィールドアーチェリー協会(NFAA)は、狩猟を模擬した状況で弓矢を使った射撃を練習するための新しい種目である3D アーチェリーを正式に競技登録した。狩猟に近いリアルな環境を作るため、標的のほとんどは狩猟動物の形をしていた。標的は段ボールと発泡スチロールで作られ、芝生、野原、森、丘、渓谷、木の後ろ等の隠された場所に置かれ、さまざまな狩猟状況を作り出した。当時は、射手が動物までの距離を判断できるように、射撃地点の付近の杭に標的までの距離が記されていた。

1977年、狩猟訓練用の弓と付属品を製造するマーティンアーチェリーは、リアルな色とキルゾーンのマーキングを施した様々な動物の実物大の立体ターゲットを一般向けとしては世界で初めて販売し始めた。

射撃クラブはハンター向けのコースを編成する際にこの立体ターゲットを使い始め、この的は多くの競技会場の設営に貢献した。標的は発泡スチロールからポリウレタンで作られるようになり、動物の重要な器官に対応する線や輪が描かれ、リアルに塗装されるようになった。これらの線は写真からは見えにくいが、近くで見るとはっきりと見える。徐々にターゲットの種類が増え、北米の大型動物29種、アフリカの動物、さらにはビッグフットのような伝説的な生き物も種類に追加された。

1980年に、アメリカ中西部で3Dトリプルクラウントーナメントが開催され、市販の3Dターゲットが販売され使用されたため、多くのアーチャーが集まった。

1983年には、3Dアーチェリートーナメントを全米フィールドアーチェリー協会の公式種目イベントとして認めてもらうための取り組みが行われた。理事会は、クラブの他のトーナメントが標準化されているように、3Dトーナメントも一般化したいと考えていたが、意見の相違により、そのアイデアは却下された。

1984年、アメリカ中西部および北部諸州で国際ボウハンター協会が設立された。1986年にジョージア州と他のいくつかの南部州で3Dアーチェリー協会が設立された。

1989年2月、チェルシー ロッド & ガン クラブ (米国ミシガン州) は、クラブメンバーを説得し、多額の費用を投じて28個の3Dターゲットを購入し、クラブの敷地内に 3D アーチェリー場を設置した後、アーチェリーコースの提供を開始した。最初の行射は1989年3月に行われ、250人以上のアーチャーが参加し、イベントは毎月のように開催されるようになった。

1991年、全米フィールドアーチェリー協会による第1回3Dアーチェリー米国全州選手権がヒッコリーで開催された。

2003年、第1回世界3Dアーチェリー選手権がフランスのシュリー=シュル=ロワールで開催された。


3Dアーチェリーは発明からすぐに唯一無二のスポーツへと発展し、独自のルール・得点制、そしてほぼ無限の種類のターゲットを備えた。当初は鹿だけがターゲットだったが、現在では各メーカーでヘラジカ、キリン、熊からスカンク、鳥、ハリネズミまで、あらゆる大きさの動物のターゲットを製造している。

注目

世界

3D アーチェリーは狩猟の練習だけではなく、ハンティング競争という斬新的な点で現在も新たな注目を集めている。競技大会は米国の多くの州で開催され、各グループの合計点が加算されて各部門の優勝者が決定される。競技者の中には、3D アーチェリーの世界タイトル獲得を目指して、世界中を年間数千キロメートルも旅して競い合う人もいる。

日本

日本における3Dアーチェリーは、徐々に人気が高まっており、時折国内大会やイベントが開催されている。例えば、毎年開催される全国3Dアーチェリー選手権大会は、多くの選手が参加する大規模な大会イベントのひとつ。また、全日本アーチェリー連盟も3Dアーチェリーの普及と発展に力を入れており、選手育成や大会の開催をサポートしている。

脚注

注釈

出典


オーストリアで疑似狩猟体験!人気の3Dフィールドアーチェリーとは?

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